確か、うちの姉ちゃんに貸してもらったシャーデー(イギリスの女性ヴォーカリスト)のライヴビデオを見たことがきっかけで、
ジャズっぽい要素の入った音楽がものすごくカッコよく思えたんですよ。当時。
で、「俺もジャズっぽいギター弾きたいな」って感じになったんですけど、
ロックとかメタルばっかり聞いていたのでジャズの世界は全く異世界に思えて、
とりあえず手始めに楽器屋さんでジャズギターの教則本を買ったんです。
そしたら、「枯葉」(ジャズのスタンダードナンバー)が課題曲になっていて、
実際に弾いてみると「おー、なにこの響き。めちゃめちゃお洒落でかっここええやん」ってなったんです。
で、その教則本の著者が色んな人が演奏した「枯葉」を聞いてみた方がいいよっていうことで、
ビル・エヴァンズ(ジャズピアニスト)とジョー・パス(ジャズギタリスト)のアルバムをおススメしてたんです。
とりあえず聞いてみるかということで、街中のジャズのCDを置いていそうなレコード屋さんに行ったら、
そのアルバムの在庫がなくて、注文することに。
何日かして、届いたCDを取りに行った時のこと、
店員のお兄さんが
「ギター弾くの?」って聞いてきたんで
「そうです」って応えると
「やめといた方がいいよ」っていうんですよ。
つまり、
「ジョー・パスのギターを練習しようとしてるんだったらめちゃくちゃ難しいからやめときなって」
意味で言ったんだと思うんですけど、僕は面喰って「そうなんですか(笑)?」って言って、お代を払ってそそくさと帰りました。
家に帰って早速聞いてみたら、ぶっ飛びましたね。
ソロギターって書いてあるのに、どう聞いてもギターを多重録音してるようにしか聞こえなくて、
1人のおっさんが弾くギターから聞こえてくる音だとは到底思えませんでした。
メロディーとコードとベースが同時に聞こえてくるけど、一体どうやって弾いているのか?
和音をどんどん弾いていっているだけなのに、その中からメロディーが聞こえてくるのはなぜなのか?
店員のお兄さんが言った通りだった(笑)
でも、不思議ですよね。お兄さんの発言。
わざわざ注文までして、とても楽しみにしているであろう高校生に向かって
「やめといたほうがいいよ」って。
商売っ気がないというか、そういう助言をくれる店員さんって今時なかなか出会わないのかなと。
先日、久々にそのCDを聞いて、ふとそんなことを思い出しました。
当時買ったアルバムはこちら。
フルツボヒトシ